« 明神岳主稜(2009/09) | トップページ | 御岳、木曽駒ヶ岳(2009/10) »

剱岳北方稜線(2009/09)

剱岳北方稜線記録 単独行(2009.9)
メンバー:鈴木裕之
コースタイム
9月19日(土)(はれ)
室堂9:05~別山乗越11:15~11:53剱沢12:25~一服剱14:15~15:53剱岳16:05~長次郎のコル16:30
20日(日)(快晴、雲なし)
長次郎のコル8:05~池ノ谷乗越8:50~三ノ窓9:35・9:45~分岐10:05~小窓11:00・11:30~池ノ平小屋12:40
(仙人池ヒュッテ往復14:05~15:55)
21日(月)(ほぼ快晴)
池の平小屋6:50~仙人池ヒュッテ7:20・8:10~仙人温泉9:20~仙人谷ダム11:25~阿曽原温泉12:55
22日(火)(曇り)
阿曽原温泉4:55~欅平9:10・9:37(トロッコ列車)11:00宇奈月温泉

19日
 私にとって、今年初めての本格的な登山である。また、スポーツタイツの有効性を確認できたことも収穫でした。
八ツ峰、チンネ、小窓王などの岩峰が続く北方稜線は長年の課題であったが、今回やっと実現にこぎつけた。5年前の秋に計画したのだが、台風のため断念した。裏剱に思いをもってから25年もの年月がたってしまった。20年ほど前の夏、針ノ木岳から入って剱沢まで到達したのだが、天候が悪化し室堂にエスケープしてから、機会がなかった。それにも増して秋の裏剱を見たかった。
 夜行急行きたぐにを使って、立山6:32着、どんよりした空。客が多く、長蛇の列に並んで整理券を取り(ここで、2000年インドの山に一緒に行った、四条畷の岡部さんが単独で来ていた。)7:20のケーブル(室堂まで2360円)に乗る。美女平で荷物券300円を払ってバスに乗り、室堂〔時計高度計で 2320m、標高2420m〕には8:30着、晴れ。登山ポストに登山計画書を投函し、例によって玉殿湧水でのどを潤し、おむすびとぶどうで腹ごしらえをし、足もとの準備をして、出発。雷鳥平、別山乗越を経由し剱沢〔2400m〕に到着。まだ正午というのに、けっこうな数のテントです。実によく晴れて、後立山も良く見える。
 入山日1日で、室堂から三ノ窓まで行けるのかどうか、わからなかったが、行けなければどこかでビバークすればいいとおもって、行くことにしました。剱沢で泊まって、1日で北方稜線を超えるという方法もあるのですが、まず、剱岳登山道は未明から一杯になって渋滞し、待ち時間が膨大になることでしょう。ということで、無理にでも、剱岳を超えようと思ったわけでした。
 剱沢の管理棟前で水をくみ、タンクに2500ml、ペットボトルに500mlの計3Lの水と、テント、食料3日分、アイゼン、それにビールをロング缶1、ショート缶1も担いで(ついでに野菜ジュースとオレンジも)、12:25剱沢を後にしたのですが、これはやはり無茶なのかも知れません。体力と年を考えた行動なのかどうか。   
急坂では脚がなかなか出なく、気温は高くないのに汗が噴き出てきます。途中、脚の疲れ対策として、スポーツタイツにはきかえました。適度に脚を締めてくれて、調子良かったです。ちなみに、ワコールのタイツです。ここで荷を軽くするためオレンジを消費する。途中山岳警備隊の人にも会い、審査?をうける。長次郎のコル~三ノ窓間は初めてであったが、通ったことがあると嘘を言う。岩の部分に来て、1手毎に力を入れるのがしんどい。鎖、蟹の縦ばい、岩をへつらい、よじ登って剱岳〔2900m、100mほど低く出るようだ、以下実際の高度は+100mであろう〕に着いたのは15:53にもなっていた。ここからがいよいよ今回のメインである剱岳北方稜線となるため緊張感が高まる。もう三 ノPhoto_2窓までは行けないと考えながら、通行禁止のマークを越えて進み、ガレ場を下って長次郎のコル〔2780m〕に着いたのは16:30、もうここでビバークです。2人横になれる広さがあります。右に熊の岩の平地が見える、長次郎谷には雪渓は見えない。行動時間7時間30分
 ところが緊急事態が発生、ザックから取り出したところテント本体が無いのです。持ってきたのは冬用外張りでした。これをかぶって寝るしか無いのかと思いましたが、風は強いし(台風の影響か)食事も作りたいし、風をよけたいので、ペグループを使って試行錯誤し、何とかポールで張ることができた。風は入ってくるので、テント内はほこりがはいってきます。ズボンもはき、ラグビージャージとダウンインナーを着込んで、ようやくくつろぐことが出来た。食事は、α米とベーコン、タマネギ、シメジキノコ、パプリカのヴィヨンスープ。

20日
 寒い、足先がひえるので、夜半に起き出してザックの中身をだし、シュラフ・カバーごと足をつっこむ。朝になっても相変わらず風が吹いている。どうせ今日は池ノ平までだ、ゆっくり行こう、ということで起床6:00。朝食(α米の残りの半分と玉子スープでぞうすい、パプリカ)の準備をしていると、6:40ころ3人のパーティがテントを避けながら通っていく(狭い場所ですみません)。こんなに早くどこから来たんだ。彼らはコルから長治郎の頭へ50mほど登り、明瞭なバンドを右へトラバースしていく。また7:10ころ7人ほどの団体がロープにつながって通って行った、今度は先ほどのバンドの少し下の20mほど上ったちいさいバンドをトラバースしていった。まだ朝早いし、風も吹いていて寒いのでゆっくり支度をする。片付けをしていると、また2人のパーティがやってきた、かれらはここより少し手前で、稜線から長次郎谷側にすこし下がったところにテントを張っていた。コルから長次郎谷をすこし下って、ルンゼから登るという。
 8:05出発し、20mほど上ったちいさいバンドをトラバースすることにした。バンドの肩を越えると、下りになっていた。ルートは池ノ谷乗越までは長次郎谷側のはずであり、慎重にルートを確認し、ところどころ不明瞭なふみ跡を探して、岩をよじったりしながら岩棚をトラバースしていく。相変わらず風が強く、買って1週間の帽子(250円)を風で飛ばされる。テントサイトに絶好の広場(2張りほどのスペースがある)を過ぎると見晴らしの良いピークに出て、チンネ、八ツ峰、小窓王らが見えてくる。振り返ると長次郎の頭の向うに剱岳が聳えている。ここから池ノ谷乗越までの下りは、ガレた急斜面で浮石も多い。池ノ谷乗越に到着8:50。(長次郎谷側にもっと楽なルートがあるということであるが、どれであるかわからなかった)
 ここから、岩の墓場のような池ノ谷ガリーを下る。斜度はそれほどでもないが、堆積したぐずぐずの岩、浮石が足元から崩れて苦労する。かなりの先行者がいる。ときどき落石がある。一度足元の石が転がっていったので「ラクー」、後ろから落石が来たので代わりに「ラクー」、後ろの人は何ら発声さえしなかった。このような人がここに来るということが信じられない。
 9:35やっと降り立った三ノ窓は広くくつろげる場所で展望も良く、チンネの大岩壁を見上げながらゆっくり小休止する。見上げると池ノ谷ガリーに大勢の人が降りてきている、ここは一般者通行禁止のはずではないのか。まるで、一般登山道である。みなここでハーネスをつけている。
 後ろからの人ごみに押されて、早々に小窓ノ王南壁直下を左から斜上するルートに取り付く。下から見上げると急に見えるが、登ってみると案外らくに三ノ窓尾根の稜線に出る。
三ノ窓尾根からは稜線上ではなく、踏み跡のあるトラバースルートを行き急な下りとなる。一箇所切り立った雪渓のトラバースがあり、時期が早いと危険らしい(アイゼンが必要)が、今は雪渓もとても小さくて切れている。このルート、木イチゴやブルーベリーが多く、おいしかった。草原(雷鳥がいた)や這い松帯を過ぎ尾根を下る、最後はとても狭い沢を降りると小窓〔2250m〕である。大休止、行動食とジュースを採る。ここから稜線の、森林帯の急坂を登っていけば池ノ平山で、行きたかったがどれだけ時間がかかるか読めなかったし、目的はほぼ達成されたので、休憩後、池ノ平小屋へ向う。小窓雪渓はゆるやかで、凍っていないのでアイゼンは必要なかった。20分ほど下り左側の目印から旧鉱山道へ入る、右には滝が見える、地図のルートよりも随分上である。後は緩やかに登って行くと、まもなく池の平小屋〔1960m〕である。行動時間4時間35分
 時刻が早く、テント(500円)を張ってのんびりし、もってきたビール小を飲む。ここには風呂があるが、小屋泊まりの人しか入れないと言う。これだけ客がいれば仕方ない。20.21と予約で一杯とのこと、余地はあっても、布団が無いという。テントも19は3張りであったが、20はテン場がいっぱいである。そのうち岡部さんも上がってきた。
時間があるので仙人池〔2000m〕を往復する、往14:05~14:50復15:20~15:55、陽が傾いたなかで、逆光のチンネが青空の中に浮かんでいる。チングルマの羽毛がひろがっている様は美しい。
 テントでくつろいで、ラジオを聴きながら、もってきた雑誌を読む。
夕食は生米を炊き、キノコ、タマネギ、パプリカをいれた春雨、海藻サラダ、スープ
夜は満天の星。

21日
 5:00起床、朝食(α米の残りと玉子スープでぞうすい、パプリカ)
 6:50 出発、今回のもうひとつの目的は、仙人池からの裏剱をゆっくり観賞することです。Photo_3 仙人池には7:20から8:10までいました。さざなみ1つ立っていない池に映る朝日の裏剱や立山、色づき始めた樹木、ナナカマド、池ノ平山、十分堪能しました。もうすこし色づくといいな、あと1週間か、10日だろう。
 仙人温泉〔1450m〕に9:20、仙人湯(泉源)〔1460m、本当は1540m〕9:45、ここからは新道、急な坂道、梯が何箇所もあります。急坂をおりて、沢で一息、仙人谷ダム〔815m〕11:25、ダム建物内を通っていき、トロッコ列車軌道をまたぐ。ここは8年前の紅白歌合戦で中島みゆきが黒部トンネル内で歌った場所(仙人谷ダムの数kmうえ)からすぐ下である。また上りになる。急登であえぐと水平歩道〔900m〕、阿曽原への下りをいくと、まわりに一杯おちている、これは山葡萄だろう、上を見上げると、はるか高いところにツルが這っている。袋を取り出し、葡萄を集める。みんな拾わないのだろうか、食べきれないほど拾って、5分で阿曽原温泉〔765m、本当は800m〕に到着。行動時間5時間15分
 さっそくテントを張る500円、温泉 500円である、テン場はまだ空いている。なるべく奥に陣取る。男の入浴時間は2,4,6時からの1時間、急げば間に合わないことも無いが、2時からにする。そのうち岡部さんが温泉から上がってきた。岡部さんには山葡萄をわける、とてもすっぱい。食べきれない分は翌日持ち歩いた。
 2時5分前に出て、降りるのに5分ほどで、露天風呂に到着、すぐ後ろのトンネルからは湯気が出ている。かなり熱い。3日間の汗で、体がべたべたし気持ち悪かったが、汗を流してすっきりすることができた。ゆっくり入って、Tシャツ、パンツを洗濯し、あがってビールを買い、山葡萄を食す。欅平に11時までに着かないとトロッコに乗れないとの注意書き。ラジオを聴きながら雑誌を読んでのんびりする、天国である。6時からの温泉にはいりかったが、おっくうになって体が起きない。テント場は余地が無いほど一杯になる。
夕食は昨日と同じ、生米を炊き、キノコ、パプリカをいれた春雨、海藻サラダ、スープ
夜は星空。

22日
 3:30 起床、自分にとっては異例である、めったに暗いうちには起きない。朝食(昨夜炊いておいた米とインスタント味噌汁、わかめでぞうすい、パプリカ)4:55 出発、テント場の奥から水平歩道を目指して歩く、雨がポツポツ落ちてきているが、そのまま進む。5:20頃からやっと明るくなってきた。登って水平歩道〔830m〕、よくこんなところを削って岩壁に道を作ったものだ。折尾谷6:17、折尾の大滝がみえる、志合谷の曲がりくねったトンネルでは明かりを持たない2人とすれちがう。真っ暗な中、くねった道を通っていくつもりのようだ。8:30に金属音、続いてアナウンス、欅平だ、思ったよりも早かった。下降点 8:37、欅平〔505m、標高590m〕9:10、阿曽原から3ピッチだった。行動時間4時間15分
9:37のトロッコ列車(1660円、すいている、すれちがう列車はどれも席に空きが無く、一杯である)で、宇奈月温泉〔145m〕11:00、共同浴場(350円)で汗を流し、体を洗い着替えをしてさっぱりする。タイツからパンツに替える。宇奈月12:40(富山地鉄1790円+特急200円)富山 13:47・小雨模様・14:16(サンダーバード、4940円+2310円、指定席は一杯であったが始発であったので自由席は座ることができた)京都 17:07、雨は止んでいた、喫茶店によって、自宅には18:30着
 剱周辺の山小屋は、どこも一杯で、予約を断ったそうで、しかも満員であり、予約なしでは、宿泊できないとの断りが張ってありました。2畳あたり3人だそうです。
 持っていって使わなかったもの・・・アイゼン、ロープ20m、テントフライ、雨具、傘


« 明神岳主稜(2009/09) | トップページ | 御岳、木曽駒ヶ岳(2009/10) »

2. 国内山行」カテゴリの記事

コメント

テント本体と外張りのまちがい、じゅうぶんにあり得ますね。注意しよおっと! ガスボンベを持ってバーナーヘッドを忘れたときなんか自己嫌悪に陥っちゃいます。
登山口で補正した高度計が実際の高度より低く計測されるのは、温暖期はしかたないことだと思われます。高度計は気圧を検知し高度に換算していますが、これは国際標準大気を前提としています。国際標準大気というのは国際民間航空機関(ICAO)が決めたもので、海抜0メートルの気温15°C、高度に対する気温減率は-6.5°C/Kmというものです。温暖期は一般的に対流圏下層の気温がこれより暖かいですので、空気の密度が小さくなり、したがって高度に対する気圧(!)減率も、国際標準大気より小さくなります。よって高度計は実際の標高より低く表示します。寒冷期はこの逆。もっとも高度計自体の精度や確かさも問題ですが…

投稿: (よ) | 2009年11月 2日 (月) 21時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1289826/32024845

この記事へのトラックバック一覧です: 剱岳北方稜線(2009/09):

« 明神岳主稜(2009/09) | トップページ | 御岳、木曽駒ヶ岳(2009/10) »