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秋山荒稼ぎ 北信の山々 (2011/10) 

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坂田 晃司

この秋は、カランクルンの会員会友のみなさんによる妙高・火打、雨飾などの山行報 告が相次いでなされ、私にとって「空白山域」への渇望感は臨界点に達しました。このたび、林さんに無理をお願いして、角幡唯介著「空白の五マイル」の向こうを張っ て(?!)、私にとってぽっかり穴が空いていた長野県北部と新潟県南西部の県境に広がる、いわゆる上信越地域の山々に登り、長年の念願を果たすことができました。
10月25日(火)夜、林さんの車で出発、途中、高速道路の「道の駅」(どこだっ た?)で車中仮眠し、翌朝、北信五岳のひとつである飯綱山(1917m)に戸隠神 社近くの西登山道から登りました。これから連続5山アタックの足馴らしというわけ です。すっかり落葉が終わった疎林のなか、初冬の木漏れ日を浴びながらなだらかな 山道を登ります。今回はじめて「北信五岳」という言葉があることを聞いたくらいで すから、後の四岳がどの山かも正確には知りません。頂上からの四囲の眺めは素晴ら しく、林さんから360度順番に同定してもらいますが、一度に全部は頭にはいりま せん。帰路は、林さんは車回収のため同じコースを引き返しましたが、私は頂上から 隣の瑪瑙山(1748m)を経由して下山、今夜の幕営予定地である戸隠キャンプ場 への途中の下山口で林さんと合流しました。 27日(木)は、高妻山(2352m)です。不覚にも私はこの山が百名山のひとつ であるとは知りませんでした。7:00に幕営地の奥からスタート、沢沿いの登山道 を尾根目指して急坂をのぼります。途中、クサリ場もあります。2時間余りで不動避 難小屋に辿りつきました。深い谷を隔てて目の前に円錐形の峰が聳えています。意外 と近いではないかと思ったのが間違いでした。高妻山の頂に達するには、つねに高妻 山の尖峰を眺めながら標高2000mぐらいの尾根上のアップダウン道を3時間ぐら い円周状に歩かなければなりません。しかも、最後に標高差300mの急斜面の直登 が待っています。結局、私たちは上りにコースタイムよりはるかに長い6時間を要し ていました。何の根拠もなく「妻」という字にうっかり気を許したのがいけなかっ た。実際は往復10時間を要する難コースで、下山口に着いたときは真っ暗で、翌日 の登山口へ移動する元気もなく、同じ幕営地に泊まる羽目になりました。翌日、火打 山への登山口である笹ヶ峰で会った百名山ハンターが「自分もこ夏に高妻山へ登った が、思いのほかきつい山だった。百名山のなかでも一番の嫌われ者といわれているら しいですよ」と笑っていました。でも、頂上からの展望は、北アルプス連峰をはじ め、南・中央アルプス、八ヶ岳、富士山、浅間山、志賀高原、妙高・火打・戸隠・黒 姫・雨飾といった山々が雲ひとつない快晴の天空の中に一望できました。兎にも角に も、「妻」という字のついた山は、一筋縄ではいかないようです。

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笹ヶ峰も実際に来たのは今回がもちろん初めてです。9時前にスタート。外輪尾根の 富士見平までは急斜面の上りで殆ど眺望もありません。ゆるやかな水平道を内側へ回 り込むと眼前に火打山(2461m)がどっしりした山容を現わしました。ああ、つ いに来たのか、感動がこみ上げてきます。13:00に尖った屋根の高谷池ヒュッテ に着きました。不要の荷物をヒュッテに残して、直ぐに火打山へ向かいました。午後 だったせいか、1~2の下山者に出会っただけで、貸切り状態。頂上付近の階段道に は雪が残っていましたが、柔らかい雪で危ないことはありません。15:15に頂上 に着きました。相変わらず快晴無風の願ってもない登山日和で、たなびく雲海の上に 顔を出している四囲の眺望は高妻山同様、壮観でした。今回はじめて一眼レフカメラ を持参したのですが、うっかりしてスウィッチをONにしたまま放置していたので バッテリーがあがってしまい、使用不能の大失態。辛うじて携帯で登頂の証拠写真を 撮っただけです。17:00にヒュッテに戻り、ここに泊まりました。

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29日(土)は妙高山(2454m)です。7時にヒュッテを出発し、黒沢池ヒュッテ へ向かいます。尾根をひとつ越えると眼前に荒々しい溶岩ドームが屹立しているのが 見えました。妙高山という名前から自分が勝手に描いていたイメージとかなり違って いました。あの岩稜に一体どこから登るのか? 林さんは、妙高山へは登らず、黒沢 池ヒュッテから笹ヶ峰へ下山し車を回収、妙高山の頂上から新赤倉温泉へ下山する私 とそこで合流することにしました。9:25に岩稜の取りつきに着き、そこから巨岩 の間を縫うようによじ登り、11:10に頂上に着きました。今日も快晴無風の好 天。土曜日とあって頂上付近の岩場は30名ほどの登山者たちで賑わっていました。 ほとんどが、東側の燕温泉か新赤倉温泉から登ってきたようです。この登山口は溶岩 の段差道で、山腹を北へ巻いて下っており、途中、クサリ場があり、急斜面です。2000mの天狗平付近はクマ笹のトンネル道で、どこからともなく硫黄のにおいが 漂ってきます。おそらく近くに噴気口があるのでしょう。大谷ヒュッテを過ぎてから は、登山道はブナの原生林のなかを下っており、落葉した落葉の上を木漏れ日に自分 の影を長く落としながら独り歩くのは、至福のひと時でした。 妙高高原スカイケーブルを利用し一気に下山、山麓駅で林車に無事収容されました。 近くの池の平温泉で入浴、峠を越えた今回の山行の心身の疲れを癒しました。浴槽か ら見上げる妙高山の山容は見事の一語です。連日の山行でスタミナも底をついてきた ので上越市まで繰り出し、焼き肉を腹いっぱい食いだめしたあと、糸魚川を経てR148を南下し、小谷村の道の駅で車中泊しました。出発以来、好天に恵まれていまし たが、明日は前線が近づき天気が崩れるとのこと。

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午前中ぐらいは持つだろうと高をくくっていたら、雨飾山(1963m)の長野県側 の登山口である小谷温泉の雨飾高原キャンプ場へ向かう途中、ぽつぽつと小雨が降り 出しました。今日も私ひとりが登り、しかも山頂から新潟県側の雨飾山荘へ下山する ことになっています。実は前述したように黒沢池ヒュッテで林さんと別れて私ひとり が妙高山に登頂し新赤倉温泉へ下山したのですが、車回送のため笹ヶ峰へ下山した林 さんへ念のため山頂から予定通り新赤倉温泉へ下山することを最終確認する必要があ ります。携帯電話を掛けることにしていたのですが、私の携帯に登録されている林さ んの電話番号に何回トライしても通じません。そのうち、とうとうケーブルの山上駅 に着いてしまった。そのとき、着電履歴を開いてそこに返電すればいいことにやっと 気づきました。電話帳に登録されていた林さんの電話番号はとうの昔変更されていた らしく、通じないはずです。老生の化石化ぶりに危機感をいだいた林さんは、雨飾山 全体が携帯の圏外であることもあり、何と衛星電話を私に持たせました。前夜、操作 の特訓を受けたのですが、いざ笹平の下山分岐で衛星電話を取り出し操作にかかると 案の定行き詰まりました。画面に出てきた選択肢を片っ端から必死にトライしている うちに呼び出し音が鳴り、林さんと話が通じました。化石人間がついに先端ITを超 克した一瞬でした。 頂上でも小雨でしたが風が強く、早々に下山にかかりました。新潟県側に下山する登 山者は私ひとり。転げ落ちないように急斜面の段差道を慎重にくだり、コースタイム より早く雨飾山荘に無事下山しました。待っていてくれた林さんと堅い握手を交わ し、今回の一日一山、5日連続の「荒稼ぎ登山」を終わることができました。最終日 を除き天候に恵まれ、この地域を隈なく走り回り、一気に「空白山域」を塗りつぶす ことができました。林さんにはほんとうに感謝しています。 糸魚川には世界ジオパークのひとつである「フォッサマグナ・ミュージアム」があり ます。帰路、ミュージアムを訪ね、フォッサマグナが本州を横断する「線」ではなく 幅広い「溝」であることや発見者であるドイツ人地質学者ナウマン博士のことなどを 学習しました。このミュージアムは、たいへん立派な施設であり、展示も充実してお り、訪ねる値打ちは十分あると思います。


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